映画「余命十年」を観て

 映画『余命十年』を観たので感想をネタバレありで書いていく。

 まずは映画の粗筋を簡潔に書く。この映画は、登場人物の小松菜奈演じる「高林茉莉(まつり)」と坂口健太郎演じる「真部和人(まなべかずと)」が中心となりラブストーリが綴られていく。茉莉は二十歳の時に余命十年の病気にかかり、そこから病気と闘う生活を強いられる。一方、和人は親との軋轢や職を失った漠然とした不安から2階の自室から飛び降りてしまう。そんな、生きたいのに生きられない茉莉と死んで楽になろうとする和人の二人が関わり合うことによる化学反応を描く物語である。

 ここからは率直な感想。この映画を通して3度は泣いた。十年以内に死ぬ茉莉がどのように心境を変化させていったのか辿ってみると面白い。最初は、病気のため周りの友達が当たり前に行なっている「仕事に就くこと」や「彼氏を作ること」ができなかったが、最終的には自分自身が幸せになる未来を素直に望み、死ぬまでに精一杯生きることを選択した茉莉の成長に感動した。道中、病気と闘うのが怖くて、幸せな未来を望む自分が許せなくて、生きるのが辛くなるシーンや家族が茉莉のことを思うほど本人にとって重荷になり辛くなるシーンを観て涙したが、病気を背負っている短命の茉莉自身が何のために産まれてきたのか、その問いに向き合い続ける良い物語であった。